2022年11月、文具・紙製品メーカーのLIFEさんとコラボし、八文字屋のオリジナルノーブルノート「初雪」を発売しました(おかげさまで完売済み)。
発売前の晩秋、「LIFE(ライフ)」さまのご好意で、ノートの製造現場に立ち会わせていただきました。
折り
ミシンがけした用紙の束を、表紙が表にくるように折り返します。
この折機はここの設備の中でももっとも年季が入ってる機械で、見た目からして貫禄がちがいます(作動音も一番自己主張が強かったです……)。
真ん中(縫った部分)からしっかりとふたつに折り曲げていきます。
完成形が少し見えてきました。
プレス〜寝かせ
ミシン綴じした背をプレスして平らにします。
さらに、積み上げたノートに重石を乗せ、ひと晩寝かせます。
「じゃあ今日はもう終わりにしてこれから一杯どうですか?」というわけにもいかないので、料理番組のように事前に用意していたものが出てきました(ご配慮ありがとうございます……!)。
のりづけ〜はがし
のりをつけ、薄紙を貼り、背を補強します。
完全に乾いたら、この背固めされた積みノートを、一冊になる2束4山(100枚)ずつ、包丁で切り離していきます。
山田さんから「やってみますか?」という突然のフリ。
元来、この種のことはとみにポンコツなのでまったくきれいに切れません。
「これも納品しますね〜」というひやっとするお声がかかったので、もし背のクロスの下が妙にボコボコするなというものに当たったら私の仕業です(買いとります、ご連絡ください)。
クロス貼り
綴じた部分(ノートの背)に、クロス(黒い紙テープ)を貼りつけていきます。
ノーブルノートで使われているクロスは「雲形」という丈夫で高級感のある模様のもの。
ノートが機械で流されていくことで、それに貼りつけられたクロスも引っ張られて次々と繰り出されていきます。
二冊単位でこのように上がってきます。
仕上げ断裁
最後にふたたび断裁機にかけ、ノートの形に仕上げます。
二等分して一冊に切り分け。
背以外の3辺(天・地・小口)を断ち(三方断裁)、整えれば完成です!
見学を終えて
長山さんによると、上の工程の三方断裁を「化粧をとる」とも言うそうです。
そこから「ノートの各部の名前って人の体と関係しているものが多いんですよね、"喉"とか小"口"とか"背"とか」なんて話に広がったことが印象に残っています。
それは、人のぬくもりが感じられる古きよき手仕事を、昔ながらの町工場(こうば)の延長線上のような現場で目の当たりにしたからかもしれません。
大がかりなオートメーション設備も大規模な生産ラインもありませんが、確かな技術を持つ"人"と機械の協働作業によって、一冊一冊ノーブルノートが作られています。
また「実際のところ、自分たちは機械の奴隷なんです」とも冗談まじりにおっしゃっていました。「機械さま、どうかご機嫌よく動いてください」とお願いしながら仕事をしていると。
そんな話をうかがうと、使い込まれた機械の表情にもどこか人間味が感じられてきます(山田さんから「いろいろつくってきましたが、これはかっこよくてテンション上がりました」とのお言葉も頂戴しました!)。
おまけ〜建物外観〜
東京の下町にたたずむとある流通センター。
本社事務所を移転したことで、製本、物流、倉庫、事務機能が集約。
あのライフのすべてがここに……!
※八文字屋OnlineStoreのWEBコラム「金曜日の文具」より転載。