WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本を優勝へと導いた侍ジャパン前監督・栗山英樹さんの『栗山ノート2 世界一への軌跡』が7月18日(火)に発売されます。
2019年10月に刊行された、前作『栗山ノート』は、2023年3月のWBC優勝決定後、反響を呼び、11万部を突破するベストセラーとなりました。本書はその続編となっており、WBC日本代表監督に任命されてから優勝するまでの日々を振り返った、激闘の舞台裏が記録されています。
本書に対する著者・栗山英樹さんの思い
日本中に感動を与えたWBC。「ぜひ、激闘の裏側を知りたい」という多くの言葉が寄せられ、『栗山ノート2 世界一への軌跡』の制作が実現しました。
WBCの期間中から6月にかけて、時間を見つけては必死にノートを書かれていく日々を、栗山さんは、「なんとなく通り過ぎていった一場面一場面の意味を深く思い出したり、あらためてその真意を理解したりと、非常に気づきの多い日々だった」といいます。
前作の『栗山ノート』に続き、本書も古典からの引用が多く、偉大な先人の教えをたくさん紹介されています。普段から先人たちの言葉を意識している栗山さんは、「人生の何かに困っていたり、何かに挑戦しようとしていたり、ちょっとモヤモヤしているような方にこそ、読んでもらえたら嬉しい」と語ります。
そして、監督として最高のチームを作り上げた栗山さんの、日々の中で浮かんだ言葉や考え方、選手への思いにも注目です。
本書の内容を一部紹介
栗山さんが小学生の頃からつけているという「野球ノート」。そこには、試合の記録やその日の振り返りのほか、古典から引用した言葉が書き綴られています。しかし、2022年1月からの野球ノートには、試合のことはほとんど書かれていませんでした。WBCの開幕までは1年以上あり、強化試合さえ組まれていなかったからです。そんな状況でも、栗山監督はいつもどおりのペースでノートを埋めていました。
その理由として、「はじめに」の章では、「昨日よりも今日、今日よりも明日と、少しでも成長できるように自分の行動を見つめていくと、ノートに書くことはいくらでも見つけることができました。いたらない自分、成熟していない自分、中途半端な自分、気づけない自分を認識した私は、戒めとなる言葉を様々な書物から抜き出し、ノートに書いていきます」と語られています。
4章では、ヌートバー選手について書かれています。彼を送り出す際は、「部下を持つ上司なら、『この仕事を彼(彼女)に任せるのは、まだ少し早いかもしれない』と思う場面があるでしょう。スポーツのチームを率いる指導者なら、『この選手を使うのは、もう少し先のほうがいいかもしれない』と悩む場面があるのでは」と綴る栗山さん。そのうえで、「ヌートバーを送り出す私は、結果についての責任はすべて自分が取ると改めて決意し、森信三先生の『根本眼目』に対する教えを心のなかで詠んでいました」と選手に対する熱い思いを語られています。
さらに5章では、戦線離脱という苦しい決断をした栗林良吏選手、6章では、日本中から大きな期待をかけられていた村上宗隆選手についても触れています。
著者のプロフィール
栗山英樹
1961年生まれ。東京都出身。
創価高校、東京学芸大学を経て、1984年にドラフト外で内野手としてヤクルト・スワローズに入団。1年目で1軍デビューを果たす。俊足巧打の外野手で、89年にはゴールデングラブ賞を獲得。1990年のシーズン終了後、怪我や病気が重なり引退。
引退後は解説者、スポーツジャーナリストとして野球のみならずスポーツ全般の魅力を伝えると同時に、白鴎大学の教授として教鞭を執るなど多岐にわたって活躍。
2011年11月、北海道日本ハムファイターズの監督に就任。同年、監督1年目でパ・リーグ制覇。2016年には2度目のリーグ制覇、そして日本一に輝き、正力松太郎賞を受賞。2019年時点の監督で最長の就任8年目を迎え、同年5月、監督として球団歴代2位の通算527勝を達成。2021年、北海道日本ハムファイターズ監督を退任。
2022年、WBC日本代表監督に就任。2023年3月、WBC優勝。2023年5月、WBC日本代表監督を退任。
※本記事は「ほんのひきだし」に2023年7月10日に掲載されたものです。
※記事の内容は、執筆時点のものです。