大正・昭和・平成を600枚の写真で振り返る
地元の方が撮影した庄内の元風景を1冊に収めた写真集『写真が語る 庄内の100年』が10月31日に発売されます。“あの頃” に呼び戻されるようなこの写真集を手掛けたのは、新潟にあるいき出版。代表・佐々木高史さんに話を伺いました。
生活感が伝わる写真が読者の胸に刺さる
大正・昭和・平成を切り取った写真集『写真が語る 庄内の100年』が10月31日に発売されます。当時が蘇ってくるような写真が魅力の1冊ですが、その編集方法は他の写真集とは大きく違います。掲載されている写真はすべて新聞記事や折り込みチラシ、ホームページを見た人から提供してもらった個人所蔵品。その人の思い出が詰まった写真ばかりです。プロ、アマチュア問わず、家に眠っていた古いアルバムから提供されています。
「100人以上の方からご協力をいただき、3000~5000枚の写真が集まりました。一部は郵送してくださった方もいらっしゃいます。弊社の基本的な編集方法としては担当者が直接、写真提供者のところにお伺いして、その場で紙焼き写真のスキャンデータを取り、取材するスタイル。スタッフは何度も庄内に足を運び、写真提供者と会話を重ねて、この1枚の写真にはどんなストーリーがあるのか、生の声を伺っています。写真に添えられた文章を読んでいただくと、その時代を生きた人だからこそ語れる話が書いてあると思いますよ。親が撮った子どもの頃の写真ですと、何の場面かわからないなんてこともあったそうですが(笑)。当時の思い出と共に伺った生活感のある情報が載っているのが、『庄内の100年』の最大の特徴であると思います」
一瞬でタイムスリップできる それが写真の力
膨大な量から厳選された600枚の写真に共通しているのは「きれいすぎない写真」であることだそう。中には街に人が歩いてるだけと言った自然体の1枚もあります。
「読者は自分が人生を重ねてきた地元のリアルな風景が見たいんですね。プロのカメラマンが撮った美しい風景写真では、どこか物足りない。人間臭さがにじみ出ているような日常を切り取った写真に心が揺さぶられるのだと思います。『庄内の100年』には、そう感じていただける写真が必ずあるはずです」
およそ100年前の『酒井家庄内入部300年記念』の様子や酒田まつりの前身である「山王祭」。昭和29年の合併で誕生した「八幡町を祝う」の模様などの大きなイベントの写真も多く収録。また、賑わう商店街、今はなきデパートの屋上、小学校の運動会といった、誰かの思い出に寄り添う写真が満載です。
「庄内がどんな100年を歩んできたのか、写真を通して伝えられたらと思っています。記憶はどんどん塗り替えられてしまうものですが、写真を見た途端、急にその時代にタイムスリップしたような感覚になることはありませんか。この写真集では、地域のさまざまな風景、出来事をいろんな角度から見られるように写真を選定しているので、忘れていた記憶がブワッと蘇ってきたりするかもしれません。地元の方の協力により、素晴らしい写真が集まっているので、読者の方に喜んでいただける自信もあります。『懐かしくて涙が出ました』と感想をいただけることが、1番の褒め言葉。ぜひ手に取っていただきたいです」
10月31日発売 予約受付中!
写真が語る 庄内の100年
いき出版
9,990円(税込)
大正・昭和・平成の庄内を振り返る写真集。地元の有志によって提供された600枚の写真を掲載。10月31日発売予定。1500部限定。予約、購入は八文字屋各店で。