万年筆を愛する方に、その出会いと魅力についてお話していただく「Life&Pen」。今回は、山形市で公務員として働いているさくらさんです。


職業:公務員 保有万年筆:50本


かわいい万年筆を集めたい

7年前に「ほぼ日手帳」を使い始めたのを機に万年筆に出会いました。最初はボールペンで書いていたのですが、せっかくなら書くペンもこだわりたいという気持ちが生まれたのと、SNSで万年筆とインクの組み合わせを楽しんでいらっしゃる方を見て、いろんな色で書けるなら私も万年筆を使ってみたいと思いました。

初めて買った万年筆は「PILOT/カクノ」。手に入りやすいものからスタートしました。ほぼ日手帳は「トモエリバー」という紙を使用していて、インクが滲むこともなく、万年筆で書くのが気持ちいい紙なんですね。その書き味の良さにインクを楽しみたい気持ちが出てきて、コンバータータイプの万年筆を使い始めたら、すっかりハマっていました(笑)。

拍車をかけたのは「ペリカン/スーベレーン M600」の限定軸でピンク色のものを手にしたときです。元々万年筆は黒い軸の重厚なイメージが強かったので「こんなかわいいものがあるなんて!」と、ビックリしちゃって。そこから“かわいい万年筆”を集めたい欲が出てきたんだと思います。



日記を書くことで日々が華やいでいく

万年筆は50本ほど持っていて、すべて稼働中です。例えば毎日の日記は、曜日ごと違うインクの万年筆を使っています。それ以外に5年手帳も書いていて、それも違うインクの万年筆。本を読んだら読書ノートもつけるので、そこでも使います。3人の友人と文通もしていて、万年筆好きの方たちなので、季節に沿ったインクを使うことが楽しみにもなっています。

基本は軸の色に合わせてインクを選んでいます。細字、太字でインクの出方の違いを楽しんだりもしているから、意外とローテーションで使えるんですよ。

日記を書くようになって、暮らしの中で起こるすべてが思い出に変わりました。小さなことでも出来事があると「今日の夜は、日記に書ける!」って思うんですよね。嬉しいこともどんどん忘れていっちゃうと思うんですが、残しておけば後々見たときにも、また嬉しい気持ちになれます。お菓子に付いてきたシールですら素材になりますし、捨てるはずだったものが思い出に変わっていくんです。

マスキングテープやスマホの写真をすぐプリントできる「INSPiC」で作ったシールを貼ったり、1ページ書くのにもけっこう時間はかかるんですが、苦痛に感じたことはありませんね。逆に生活が華やいでいくのを感じています。

何も書くネタがない日は太字の万年筆を使います。すると、全然苦じゃなく書けるんですよ! たくさん書くことがある日は細字。やっぱりボールペンでは感じられない「書く喜び」が万年筆にはあるんですよね。



ご当地インクには思い出も詰まっている

先日、八文字屋のイベントでオリジナルインクを作りました。懸賞でモンテディオ山形の試合チケットが当たったのをきっかけにファンになり、モンテディオ山形カラーのインクにしたんです。夫は以前からサッカー好きだけど、私はそこまで興味がなくて。でも当たったチケットで行った試合からずっと勝利が続いたこともあって、すっかり好きになってしまいました。今年も開幕を楽しみにしているんです。

八文字屋オリジナルインクも持っていますし「ご当地インク」は、チェックしていますね。コロナ禍前の2019年に「文具女子博#インク沼」というイベントに行ったとき、さまざまな地域の文房具店さんが出店されていて、オリジナルインクの存在を知りました。例えば、宮城県の文具の杜が出している「煉瓦色の約束」、愛知県三光堂の「名古屋城セピア」などネーミングセンスもおもしろいですよね。

旅先やイベントでお話しして買ったものなので、特別感があるだけでなく、その思い出も蘇ります。それぞれの文具店さんはインクのストーリー性を大事にされていますし、いろんな想いを込めて作っている分、同じピンクでも違う心持ちで使ってしまうんです。

しばらく旅行には行けず、オンラインで購入したものも多いので、今年は現地に買いにいけたらいいですね。ずっと行きたいと思っているのは、香川県にあるhelicoです。オリジナルのガラスペンと万年筆、インクも作っていて、どれもかわいいんですよ。

持っているインクは、上山市のおかげさま文房具店で買ったインクカードを塗って管理しています。100均で買った筆でバーっと塗ってファイリングし、裏面にどこのインクかを記入。万年筆で書くとちょっと色味が違ったりもするんですが、瓶に入ったままよりは選びやすいですよ。



住んでいる土地を存分に楽しみたい

インクを収納している箱は、南陽市のクラフトフェアに出店していた木工所さんに作っていただいた特注品。「何でも作りますよ」と出していたので、相談してみたら、いろんなアイデアを出してくださって! インクを箱ごと収納するときに高さが同じだと取り出しにくいから、少しだけ階段になっていたり工夫がすごいんですよ。かなりお値打ち品でした。



クラフトフェアやマルシェなど、手作りのものが販売されているイベントに行くことも好きなんです。寒河江市で開催されているマルシェはとくに好きで、チェックしています。

私と夫は同じ職場なんですが、転勤が多いんですね。夫は岩手の人ですし、出会ったのは秋田。今は山形市に住んでいますが、これまでも秋田の横手、鶴岡、南陽と転々としています。なので、その土地を知りたい、存分に楽しみたいという気持ちが常にある気がします。読書が好きだったり、家にいることも苦じゃないんですけどね。


選ぶ基準は「かわいい」こと

欲しい万年筆が発売しても我慢するときはありますよ。 一応、万年筆を買う名目は何かしらつけています(笑)。持っているものはピンクの軸が多いかもしれません。欲しいものの基準に、まずは「かわいい」は入っていると思います。

新しいものを手にしたときの喜びは特別で、ずっと眺めていられますね。でも、前から持っているものも同じぐらい好きなので、引っ張り出しては「やっぱりかわいいなぁ」って思ったり。自分で選んで買ってますから、いつ見てもかわいいです。



買ったお店、そのときの状況、店員さんとの会話など、1本、1本に思い出が詰まっています。夫に「この万年筆はね」と説明するのも楽しい。それも含めて万年筆が好きです。


お気に入りの1本:LAMY/ラミー ダイログCC 最近買った1本です。手帳とセットになっていて、キャップレスタイプ。サファリはペン先がステンレスですが、これはペン先に金が使われていて、すごく書きやすい。何よりピンクゴールドがすごくかわいいですよね!ブルーを先に買ったのですが、お気に入りすぎて追加で買っちゃいました。


※八文字屋OnlineStoreのWEBコラム「Life&Pen」より転載。