※本記事は「ほんのひきだし」に2021年6月11日に掲載されたものです。
※記事の内容は、執筆時点のものです。
赤塚不二夫さんや手塚治虫さん、楳図かずおさんに始まり、あだち充さん、高橋留美子さん、青山剛昌さん、藤田和日郎さん、満田拓也さん……と名だたる漫画家たちが作品を発表してきた「週刊少年サンデー」(小学館)。
現編集長・市原武法さんが2015年7月の就任時に掲げた“大改革”の衝撃を覚えている方も多いかと思いますが、それから約6年、サンデーでは、新たな看板作品が着実に誕生してきています。
今回は「週刊少年サンデーの今」を担うヒットメーカーとして、小倉功雅さん(担当作:『葬送のフリーレン』『古見さんは、コミュ症です。』など)、原俊介さん(担当作:『よふかしのうた』『死神坊ちゃんと黒メイド』など)の2人にインタビュー。
編集者としての歩みや漫画に対する考えを伺いながら、「面白い漫画って何だろう?」「サンデーらしさって何だろう?」に迫ります。
※八文字屋ONLINEでは小倉功雅さんのインタビューを掲載
入社1年目からサンデー編集部に
―― まずは入社以降の担当作と、そのなかで印象的だった仕事についてお聞かせください。
2009年に小学館に入社して、原と同じく1年目で少年サンデー編集部に配属されました。
最初に担当させていただいたのは、クリスタルな洋介先生の『オニデレ』で、その後、安西信行先生の『MIXIM☆11』を担当、2年目の途中から青山剛昌先生の『名探偵コナン』を担当することになり、青山先生とは4年弱ご一緒しました。その後『古見さんは、コミュ症です。』『保安官エヴァンスの嘘』『リサの食べられない食卓』『ノケモノたちの夜』『葬送のフリーレン』などの立ち上げに携わりました。同時に、『柊様は自分を探している。』『マギ』『蒼穹のアリアドネ』なども担当させていただきました。
印象に残っているのは、もちろんすべての作品なので悩みますが、特に言うなら『名探偵コナン』でしょうか。若手の時に長く担当させていただいたので、ひよこの刷り込みのような種類の敬意があります(笑)。「20代後半は青山剛昌先生と『名探偵コナン』に捧げた」と思っているくらい、密度の濃い時間を過ごして、必死で働いた気がします。
―― 2年目の半ばから4年弱というと、単行本第70巻あたりから10数巻分といったところでしょうか。
そうですね、『名探偵コナン』は、第73巻のラーメン屋さんの話から第86巻の途中まで担当していました。
最初の1年くらいは、当時副編集長だった先輩も編集長になるまで打ち合わせに参加していました。
その頃の打ち合わせで世良ちゃん(世良真純)が出てきて、それ以降、安室透や赤井ファミリーの面々がどんどん登場してきます。
劇場版には第15弾「名探偵コナン 沈黙の15分」の途中から第18弾「名探偵コナン 異次元の狙撃手」まで携わって、その間には「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」「江戸川コナン失踪事件 史上最悪の二日間」などのコラボ作品もありました。
若手の立場で、派手な仕事もさせてもらいました。赤井秀一が特に好きなキャラクターだったのもあって、そんな時期に担当させてもらえたことも、強く印象に残っている理由の一つです。
これまでお世話になった先生は、すでに話したクリスタルな洋介先生、安西信行先生、青山剛昌先生のほか、西森博之先生、大高忍先生、八木教広先生など、ヒット作を世に出している先生方を担当させていただきました。皆さん本当に漫画愛が強くて、面白いお話をいろいろと聞かせてくださり、たくさんのことを学びました。
『名探偵コナン』を後任に引き継いだ後は、編集5年目で、前任から引き継ぐかたちで、当時『デジコン』の連載予定だったオダトモヒト先生を担当することになります。『デジコン』連載終了から約半年後に『古見さんは、コミュ症です。』の読み切りがサンデーに載って、そこから連載を目指し、2016年5月に本誌連載がスタートしています。